• 2025.08.
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【著者インタビュー】薬剤師が提唱する「偏薬さん」からの脱却 ~自然派薬剤師・豊嶋ゆりえさん~

「あなたの編集者」、Kindle出版プロデューサーの藤岡信代です。
2025年8月に出版された書籍の著者インタビューをお届けします。

「薬は体に悪い」「自然療法が一番」―そんな極端な考えに陥り、かえって健康を害してしまう人が増えています。そんな現象を「偏薬さん」と名付け、薬剤師としての立場から中庸のバランスを説くのが、今回お話を伺った豊嶋ゆりえさんです。

山口県で病院薬剤師として働きながら「心と体の健康サポートコトリサロン」を主宰する豊嶋さんが、このたび『もう薬で迷わない!自然派薬剤師が教えるバランスの取れた薬とのつき合い方』を出版されました。ご自身も「偏薬さん」として多くの失敗を経験し、そこから得た「偏らない生き方」の哲学を、AIを活用した執筆術とともに詳しくお聞きしました。

――豊嶋さんの経歴とお仕事について教えてください

豊嶋ゆりえさん(以下、豊嶋さん): 山口県で病院の薬剤師をしながら、心と体の健康サポートコトリサロンという健康サポートのサロンをしております。私は偏りが良くないと思っているので、現在の科学と分子栄養学、糖尿病療養指導士などの資格もありますし、一方で心のケアや波動といった自然療法的なことも両方やっています。中立な姿勢で、その方に合わせて「この方にはこれがいいかな」というアドバイスをしています。

――今回出版された本は、どのような内容ですか?

豊嶋さん:私は薬剤師なので薬の本なんですけれども、「偏薬さん」という私の造語なのですが、偏食さんならぬ薬の偏りということで、偏薬さんを卒業してもらおうという、そういう本になってます。
みんなが知っている言葉で言うと、中庸というか、あっちでもなく、こっちでもない、自分の真ん中みたいな。偏りがないのが一番いいことだよということを伝えたかったなというのがあります。

――なぜ「偏薬さん」というテーマで本を書こうと思われたのでしょうか?

豊嶋さん:もともと若い時から何か世の中の役に立ちたいということは思っていたのですが、なかなかそういうことを出す機会がありませんでした。30年間、自分でいろいろと心の勉強、体の科学などを勉強して、現時点での集大成かなというものを温めていました。それをどこかで出したい、誰かに伝えたいという思いから、本を出すことにしました。

実は私自身も「偏薬さん」だった時期があります。薬学部に行っていたので、現代医学ばかりやっていて、細胞とかそういうものにすごく取り組んでいたんですけれども、ふと「これはちょっと偏っているな」と自分で気づいたんです。

次に、逆にスピリチュアル、精神的な心のことに行きまして、大学院では心理学の方を勉強したんですけれども、そんなことがあって、今度はスピリチュアルの方、心の方にどんどん行ってしまって、失敗したことがありました。
結構どちらかに振り切れてしまうタイプで、科学なら科学、心なら心みたいに。振り切れた時に何かがプツンと切れたり爆発したりするという経験を何度もしております。それで波乱万丈の人生となってい
ます。

――読者に最も伝えたかったメッセージは何ですか?

豊嶋さん:最初は『失敗薬剤師が教える』というような、反面教師的なアプローチで企画を出していました。失敗して体験することで学んでいく。今は情報も溢れているし、「これいいよ、これいいよ」というのもたくさんあると思うんですけど、やっぱり自分が実感しないと腑に落ちない、本当にそうだよねと思えないと思うんです。

その反面教師の代表で、たくさん失敗しているので、薬剤師のくせにと酷評される方もおられるかと思うんですけど、やっぱり経験することは大事で、子供にも「失敗しちゃいけないよ」というのではなくて、小さなことでも、ちょっと大きいことでも、親がしっかり守りながら、そういう体験、経験を積むことは大事だなと思います。

――読者からの反応はいかがでしたか?

豊嶋さん:友だちから「私もそう思っていた。ありがとう」とか「すごい」といった感想をもらって、共感していただけるのが一番嬉しいですね。「そう思っていた」という声を上げていないけれど、そういう人がたくさんいるのがすごいなと思いました。

「私は意識高いのよ」とか「自然派なのよ」とか「医者が薬は毒だと言ってる」とか、そういうのをすごく言われているけど、「変だと思ったよ」という声が多いですね。SNSとかでいろいろ言われて盛り上がっていることに対して、やっぱり自分で思われている方は多いんだなということが、かえってよかったなと思いました。

山口県という田舎で細々とサロンをしているけど、なんか伝えようにも伝える手段がなくて、伝わらないじゃないですか。他の県の人とか、日本全国まで、ましてや世界には伝わらないわけで。私の考えで人生が変わるとか、人生でなくても小さなことに変化があって楽しく生きられるようになるとか、そういう人を探せないのがもどかしいことだったので、出版してよかった。これからどんな方と出会えるのかなって楽しみです。

――執筆でAIを活用されたとお聞きしましたが、具体的にはどのように使われたのでしょうか?

豊嶋さん:私の最良の親友かもしれません。なんでも対話します。言語化できない、言葉が出るまですごく大変なのは皆さんもあると思うんです。「こういう気持ちなのだけれど、これって言葉にしたらどうなるのかな」と表現してほしいというと、すごく賢い答えをいただけて、それをまた自分なりの言葉で書いていくという繰り返しですね。

私は哲学、人生哲学を薬に例えているだけなので、それを一言で表現すること自体にすごく時間がかかるから、永遠に本にならないという状況でした。それが、AIがついていってくれることで、その言葉が出てきたのが素晴らしかったです。

――出版までのプロセスで、想像以上に大変だったことはありますか?

豊嶋さん:一番大変だったのは、最後に特典プレゼントをつけることでした。ご縁を結んでいただくために、お薬に関する効能書きではなくて、「こういうふうにしたら、副作用を少なく抑えて飲めますよ」とか「こういう方法がありますよ」とか「自然療法も一緒に取り入れよう」といったものを特典プレゼントとしてつけたんです。

「血圧の薬は一生飲まないといけない」と言われているけど、その薬あるあるはどうなんだろうという疑問に答えるとか、それをものすごく調べなくてはいけなくて、その特典プレゼントを作るのにすごく時間がかかりました。とても大変でしたね。

また、パソコンができなくて、予定通りに進まないんです。夜中に変換できないとか、画像挿入できないとか、そこでもう進めなくなってしまう。そういうのですごく困って、先生にはちょっとうるさかったかなと思うんですけれども、本当にこんな簡単なことができないということで困りました。

――一方で、うまくいったと思うことはありますか?

豊嶋さん:人生における自分の中の理念、ここに流れているものがもうあったので、書くことに関しては割と筆が進んだんです。ただ途中で「バズろう」とか思って、ちょっと目立とうと思って違うところに行ったりすると、わけがわからなくなってしまって、藤岡先生に引き戻されました。でも、もともと流れているものはブレていないので、そのまま行けば本当にすごく早く書けたんじゃないかなと思います。

大谷さんの二刀流というキーワードがめちゃくちゃ流行っているじゃないかと思って、こういうのを入れようと思ったら、「それはちょっと違いますよ」と言われたんです。やっぱりそういう流行りのものを入れようとか、自分の根底のものと、それに乗っかろう、合わせようなんて思うとやっぱりダメなんだなと思いました。無理があったんでしょう。

――本を書かれて、ご自身の中で何か変化はありましたか?

豊嶋さん:奥底のものは何も変わっていないんです。ただその心の状況、心理状態として、今まではなんか遠慮していたんですね。世の中でも「すいません、すいません」という感じで一歩引いて、「お先にどうぞ」という感じだったんですけれども、やっぱりこれは自分の言いたいことは出していかないといけないなという気持ちと、やっぱりもう30数年間、心も体も自分が学んできたということに自信を持っていかないといけないなという、自信を持とうという気持ちになりました。これからまたいろいろと皆さんの声や皆さんとのご縁によって、そこの小さな失敗などもありつつ、もっとたくさんの人に伝わるのではないかなと思っています

――今後の展開についてお聞かせください

豊嶋さん:今回私の人生哲学、みんながより良く生き生きしていくことを薬に例えて出した。それは、私の一面なんですね。で今後は「コトリサロン文庫」として、他の側面でも書きたいと思います。次は、「人生百年時代があなたに来るのだろうか」ということを、専門家的な面や時代的な側面から見てみたいと思います。いくつでもシリーズとして本が出せると思うので、そういった内容に興味を持つ方とのご縁ができるといいなと思います。

私の理念は、結局は細胞とか心の問題を解決して、みんなが楽しい人生の構造体を作って、地球環境も良くして良い地球にしていくことです。毎回私のホームページやメルマガには、バーンと出ているんですけれども、そういう社会にできたらなと思っています。本を書くことでね。

――最後に、これから本を出したい方にメッセージをお願いします

豊嶋さん:熱量、何か伝えたいテーマが大切だと思います。私の場合はそれがすごくあって、それが脈々と流れていないと最後まで書くのは大変かなと思うので、熱く語れる、誰かが目の前にいると思って、その人にこれを語りかけたいよということが一つあることが、大切かなと思いますね。

もちろん著者になることは一つの権威性だとは思うんです。私は無名だから、本当はいいものを持っていても伝わらないということがあったから。それは確かに必要だけれど、有名になることとか、それこそさっき私の失敗談の流行りに乗るみたいな、そういうことで本を書き始めると、頓挫してしまうのではないかなと思います。何か一つ、ご自分の内側から湧き上がる熱いものをお持ちになると良いのではないかなと思います。

著者プロフィール
豊嶋由理恵(とよしま ゆりえ)
薬剤師、心と体の健康サポートコトリサロン主宰、筑波大学医科学研究科修士。延べ20万人以上の患者さんの相談を受け、自然療法と心の相談では延べ1000人以上の方々のお悩み相談を経験。薬剤師の知識と自然療法、心の相談の経験を活かし、「偏らない」「中庸」をキーワードに、一人ひとりに合った健康法を提案している

『もう薬で迷わない!自然派薬剤師が教えるバランスの取れた薬とのつき合い方: 失敗体験から学んだ薬のさじ加減、コトリサロン文庫』
著者:豊嶋由理恵
Kindle版発売中

書籍の詳細・購入はこちら

編集者より

豊嶋さんのインタビューを通じて印象的だったのは、ご自身の失敗体験を包み隠さず語り、それを「反面教師」として活用する姿勢です。薬剤師という専門職でありながら、「偏薬さん」として多くの失敗を重ねた経験があるからこそ、読者に寄り添える説得力のあるメッセージになっていると思います。
また、AIを「最良の親友」として活用した執筆術は、多くの著者予備軍の方にとって参考になるのではないでしょうか。言語化の困難を技術の力で乗り越えながらも、最終的には自分の言葉で表現するという姿勢は、これからの執筆スタイルのひとつのモデルケースと言えるでしょう。
「中庸」という東洋思想の概念を現代の健康問題に応用し、薬と自然療法のバランスを説く豊嶋さんの視点は、情報過多の現代社会において多くの人が求めている「答え」なのかもしれません。

もし、専門知識を一般の方に分かりやすく伝えたい、自分の体験を書籍という形で社会に還元したいとお考えでしたら、ぜひ一度ご相談ください。あなたの知見を必要としている読者に届けるお手伝いをいたします。


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