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- 【著者インタビュー】「自分のありたい姿を言葉にする」ことで変わる日常~~土井けいこさん
「あなたの編集者」、Kindle出版プロデューサーの藤岡信代です。
2025年6月に出版された書籍の著者インタビューをお届けします。
暮らしのアドバイザーとして30年にわたって活動を続ける土井けいこさんが、このたび『日々のモヤモヤがなくなる魔法の問いかけ 50代からは暮らしも人生も楽に楽しく』を出版されました。バングラデシュでの専業主婦体験、阪神・淡路大震災での被災体験など、人生のさまざまな転機を乗り越えてきた土井さんが辿り着いた「モヤモヤ解消法」について、詳しくお話を伺いました。
このコンテンツの内容
――まず、土井さんの経歴と現在のお仕事について教えてください
土井けいこさん(以下、土井さん): 暮らしのアドバイザーとして、暮らしの困りごとを家事を中心に解決する考え方をお伝えしています。30代前半にバングラデシュの首都で3年間専業主婦として過ごし、30代後半は神戸の企業でホームヘルプサービスのコーディネーターをしていました。一生の仕事にしたいと思うほど大切な仕事だったのですが、阪神・淡路大震災で被災し、様々なことがあって退職、独立しました。それから30年間、ずっとこの仕事を続けています。
――今回出版された本には、どのような内容ですか?
土井さん: タイトルは『日々のモヤモヤがなくなる魔法の問いかけ 50代からは暮らしも人生も楽に楽しく』です。この本は、自分がどうありたいのかを言葉にできるようになれる本なんです。これが一番の特徴であり目的ですね。特に、言葉にするためのワークの方法について、実際のやり方を詳しくお話ししています。
言葉にすると、いろんなことが自分の中でストンと腑に落ちる。「あー、こんなことでモヤモヤしてたんだ」ということがわかるだけで、その時点からすぐに、そしてこれから先の人生の節目すべてを、楽しく前向きに受け止めていけるようになるんです。
――なぜ「モヤモヤ」をテーマにされたのでしょうか?
土井さん: 30年間、暮らしの困りごと解決をする中で、少人数の人たちが本当に自分が抱えているものと向き合う場を作る必要性を感じたことがあったんです。10年ぐらい、少人数のグループでモヤモヤを解消する講座を対面でやってきました。
参加者の方は家事の困りごとを持ってこられるんですが、私が何も準備せずに聞き取りをして声かけをしていく中で、本当は言葉にできなかったところが言葉になっていく。家事の困りごとだけでなく、「ママ友との付き合いにモヤモヤしてたんだ」って気づく人もいたりして。実際は家事の困りごとというより、本当に自分が日々言葉にできずにいる思いが、ライブのやり取りの中で言葉になっていくんですね。
――読者に最も伝えたかったメッセージは何ですか?
土井さん: 自分のありたい姿を言葉にすること、自分がどうありたいのかを自分で言葉にできることがすごく大事だということです。モヤモヤの中には、誰にでも、本当は自分のありたい姿があるんですよね。でも言葉にできないしんどさや、枝葉の困りごとにとらわれて核心のところになかなか気づけない。
だからこそ、自分のありたい姿を見つけて気づいていく、言葉にすることの大切さを伝えたかったんです。私自身がそういう体験があったので、余計にそう思うんですね。
――書籍の中で特に力を入れた部分は?
土井さん: 一番難しかったのは2章です。1章では「自分のありたい姿を言葉にすることが大事」ということを伝えているんですが、2章でそれを具体的にどうするかという解説をしています。
これまで目の前にいる人の表情やトーンを見ながら問いかけをして、気づきを促してきたことを、一人でどなたでもできるように文章で説明するのがとても難しくて。まだまだ足りないと思っているぐらい、私にとっても困難な作業でした。ハウツーを文章で伝えることの難しさを痛感しましたね。
――本の中で紹介されているワークシートについて教えてください
土井さん: 9つのマス目に区切ったシートを使います。真ん中に自分が考えるテーマを置いて、周りに最初はモヤモヤを書き出していく。次に、その中の一つを真ん中に置いて解決策を考える、という風に使います。
おにぎりの例なんかもあるんですが、「何作ろう」「どんなのあったっけ」「家にある材料で作るには」といったことを書いていく。そういうことをしていくこと自体が、自分自身の言語化、言葉にするトレーニングになると思っています。なるべく簡単なことからやっていくのがいいですね。
この枠があることがとても重要で、問題を明確にすることと解決策を考えることを切り分けられるんです。企業や海外の開発現場でも使われているフレームワークなのに、なぜそれを自分の暮らしに使わないのか。誰にでも使える便利なツールなんです。
――本を書かれて、ご自身の中で何か変化はありましたか?
土井さん: すごく大きな変化がありました。体験を書くことには抵抗がなかったんですが、ノウハウを伝えることがこんなに大変だったとは思いませんでした。藤岡さんから「これじゃあ伝わらないですね」「どうしてここにいったの?」と言われるたびに、「なんだろう、どうしてこれだったんだろう」と掘り起こしていくと答えが出てくる。
一言で言うと、すごく貴重な体験でした。難しいことにトライして、形になった。私の人生の宝ですね。難しいことができたという経験があると、次にまた困難なことにぶつかっても「大丈夫」って自分を信じられそうな気がするんです。
――今後の予定をお聞かせください
土井さん: まず、この本の続編を書きたいと思っています。「楽に楽しくなる」実際の日々の暮らしに役立つヒント集のようなものです。その後には、暮らしのダウンサイジングについて書きたい。私が55歳で住み替えをして、床面積を3割削減した体験を、単なる個人のエッセイではなく、皆さんのヒントになるような本にしたいです。
もう一つ、この本では抑えに抑えて書かなかった、50代から60代にかけての10年間の苦しい体験についても書きたいですね。夫との向き合い方について、同じような状況の方の役に立つヒントを伝えたいと思っています。
――最後に、これから本を出したい方にメッセージをお願いします
土井さん: ぜひ伝えたいことがあります。自分の体験は人を励ます力になります。本当に体験には励ます力があるんです。それを自分の言葉にして、このワークをして言葉にして、そして誰かの役に立つ形、本という形で届けられることが、もしかしたら聞いてくださっているあなた自身の人生の宝物になるんじゃないかなと思っています。
著者プロフィール
暮らしのアドバイザー 1956年生まれ
少人数ワークショップ「暮らしのお困りごと解決講座」主催。消費生活アドバイザー資格で自治体主催講座講師多数。