• 2024.03.
  • 11

新人時代の恥ずかしい思い込みから、出版で大切なことを知る

あなたの編集者、編集脳アカデミーの藤岡信代です。
セルフ出版プロデュースとコンテンツビジネスのコンサルティングを行っています。

『痛い失敗体験から学んだ 出版の成功法則』と題して、出版社で22年勤めていた間に数々の失敗から学んだことを書くことにしました。

さっそくプロット(筋書き。構成案の下書き)を作り始めたのですが、入社当時は、「とんでもない勘違い野郎」だったことに気づき、一人で冷や汗をかいています(笑)。

いちばん恥ずかしい勘違いは、なんだったかと言うと……

出版で、自分の書きたいことを伝えられると思っていた

もともと書くことが好きだった私は、雑誌編集の仕事に憧れて東京の大学に進学し、なかなかの競争率をくぐり抜けて(バブルの真っ最中の1990年)、出版社に就職したのですが、

出版とは広く知らせるものである と、勘違いをしていました。

その上、運良く出版社に入社できたものだから、

自分は知らせる側の人間 とまぁ、恐れ多いことこの上ない勘違いをしてしまった(赤面)。

そんな思い上がりは、新人研修の間から素晴らしい先輩編集者に正していただいたのですが、「出版する」ということには、うっかり勘違いしてしまう魔力もある、と思います。

出版することで知ってもらおう、なんて思っても、読者が読んでくださらなければ、伝えることすらできない。これが事実です。

「じゃあ、どうすれば?」
編集者として、そのことをいつも考えてきたなー、と思います。

私が伝えたいことと、読者が知りたいことは別と考える

これは、もっと編集者としての経験を積んでから、意識できるようになったことです。

読者は、ご自分の興味・関心で情報を探しています。だからまず、読者が知りたいことに関心を向ける。それを満たした上で、こちらが伝えたいことを読んでもらえるようにする。

こちらが伝えたいこと、と言っても、私個人の主義主張ではもちろんありません(笑)。読者にとって役に立つようなことで、ひょっとしてまだ読者が気づいていないことを伝える。

「伝えたいこと」とは、「あなた(読者)に伝えたいこと」である。

このニュアンスが伝わるでしょうか。
徹底的に読者のことを想うから、伝えたいことが見えてくる感じです。

振り返ってみると、このことがわかるまでの新人時代は、「私はこれが大事だと思うんです」「私はこれを伝えたいんです」と、企画会議で主張していたような気がします……。「私が」伝えたい、と、主体が自分だった。

それが、少しずつ「読者のお困りごとには、こんな情報があると良いと思うのですが」「こんな情報があれば、読者の気持ちが軽くなると思います」というふうに、読者が主体に変わっていき、やがて、別冊の企画を立ち上げたり、50万部超のベスト&ロングセラーを生み出したり、新雑誌の創刊ができる編集者になっていきました。

「売れない」痛みが、原点に気づかせてくれた

大切なことがわかるようになったのは、「雑誌が売れない」という痛い経験を重ねていったからです。

独りよがりの特集は、売れない。
とことん読者の悩みや願望に向き合った特集は、売れる。

毎月毎月出る結果に、鍛え上げられたからこそ、身にしみてわかったのです。

(この体験は、アメブロを書いていたときにもとても役立ちました!アクセスやコメントなどの数字を見れば、読者のニーズはすぐにわかります。雑誌よりもはるかに楽だと思いました(笑))。

「伝える」というのは、自分が行動した時点で完了しますが、
「伝わる」ということは、自分の行動に相手が反応してくれてはじめて、完了します。

「伝わる」には、必ず相手がいること。
相手が受け取りやすく伝えるから、受け取ってもらえるということ。

このことが、出版でもWEB発信でも、原点であると思っています。


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